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美術監督・木村真二 |
――まず、美術監督とはどのような仕事をするのか教えてください。
監督のイメージに合わせた世界観を作るということですね。今回は、大友さんが絵コンテを作る前から一緒に現場に入っていたので、先にシナリオを読み、こちらがイメージした画を大友さんに提示して、大友さんがイメージする世界を固めていきました。
――今回はイギリスが舞台ということで、ロケハンに行かれたそうですが、どれ位の期間でどの辺りに行かれたのですか?
8年前に10日間くらい、ロンドン、マンチェスター、それからヨークという古い街に行きました。美術館や、スチームエンジンを見るために産業技術博物館みたいなところにも行きました。あと、レイが働いていた工場にはいくつかモデルがあるんです。マンチェスターで博物館として現存しているんですけど。日本と比べると、イギリスは昔の物が残っているので、助かりましたね。
――ロケハン中、一番印象に残ったことはどこでしょう?
やはりヨークかな。ロンドンもマンチェスターも大都市で、街並はあまり変わらないんです。ヨークの田舎風の建物をよく参考にしました。
――ストーリーボードは何点くらい描かれましたか?
イメージボードと合わせて100点くらいです。ストーリーボードというのは引いた状態の画を描くんですが、実作業に入るときに「寄り」とか「身近なもの」といった部分もスタッフに伝える必要があります。ですから、レイアウトが上ってきてから、もう一度本番用や背景として使えるものを描いて見本として渡すこともあります。
――その次の工程は、どのような感じに?
スタッフから上ってきたものと自分が描いた上がりを、最終的に大友さんや高木さん(演出)、安藤さん(CGI監督)、松見さん(テクニカルディレクター)たちと一緒にチェックし、OKを出してCGの方に出すといった感じですね。あとは、スキャンし終わったものの加工などもあります。一回スキャンしたものを見て、自分たちが描いたものとはイメージが違うことがあるので、その修正をしたり。
――今回『スチームボーイ』に参加されたきっかけはなんでしょう?
この前にやっていた作品で『とつぜん!ネコの国 バニパルウィット』という児童映画があったんですが、監督のなかむらたかしさんが『AKIRA』の作画監督を担当された方でした。また、以前、短い仕事をしたことのある森本晃司さんが、大友さんと仕事をされたことがあって、推薦してくれたんです。
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