大友克洋監督作品 スチームボーイ
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インタビュー

編集:瀬山武司 [←フローチャートへ戻る] | [←前へ] | [次へ→]
――編集という仕事は、素人的な印象ですとフィルムを切ってつなげて……という感じですが。
原図整理・末武康光
編集・瀬山武司
まさにその通りです。アニメーションの編集といっても、やることは実写と同じです。ただ、最近のアニメーションはスケジュールがどんどん切り詰められていまして、全体をパートごとに分けて編集していくというのが当たり前になってしまいました。全カットが揃って、それを監督と一緒に見ながら編集プランを立て、それから実際に切ってみて、できあがったものを検討していく……というのが本来の編集のカタチなのですが。

――それが問題であると。
全体像を見ないで編集しなくてはならないわけですからね。終わりがどうなるのかわからないのに、頭を切っていたり。ただ、そうなってしまったのは、スケジュールなどのやむにやまれない事情がたくさんあるわけでして、そういう中でやっていくには、監督と編集者(エディター)は気心が知れていなくてはならないんです。監督は「たぶん、こう切ってくれるかな」と思い、編集側は「たぶん監督はこうしたいんだろう」とお互いに気持ちが通じていればこそ、今のようなイレギュラー的なやり方ができるわけです。逆にいえば新しい人が入り辛くなっているわけですが。

――今はどこの編集プロダクションもベテランばかりなのですか?
否応なく新人に入れ替わることもありますけど、ウチ(瀬山編集室)の場合はどうやってうまく新人と入れ替わっていくかということを模索しています。また、最近はフィルムを知らないエディターが増えてます。テレビシリーズなどでは、それでも問題はないでしょうが、劇場用作品だと必ずネガを触る必要があるので、できないと困ると思います。ウチにも若い人間が3人いますが、ネガを触れるのは1人だけ。貴重な存在なんじゃないかと思いますよ。デジタルと両方できますから。

今では貴重になったネガの編集機
――大友監督とは『AKIRA』以来のお付き合いだそうですが、印象はいかがですか?
『AKIRA』のときは、初めての監督作品だから神経が高ぶっている感じで、ちょっと近寄りがたいものがありましたね。それが年月と経験を積んで、最近は丸みを帯びてきて、作品も子供が見られるようなものになってきました。人間の変化とともに作品も変わってきていますね。

――今回、最も苦労されたところは?
あまりにも制作期間が長すぎたということですね。これが問題でもありますが。

――問題というと?
作品に対する気持ちが中断されてしまうんです。例えば、前半が終わって、後半は1年後です……と言われても、その間、気持ちを保ち続けられないです。編集というのは特殊な仕事で、この作品だけで生活してるわけではなく、他の仕事もたくさんやっていますし。そういう意味で、正直ストレスは溜まりました。スタートした時点でまったくゴールの見えないレースで、「どこにゴールがあるんだ」と聞いても答えは出なかったですから。ただ、大友さんにはとても感謝してます。全部やらせてくれましたから。

――全面的に信頼してくれたと。
ええ。スケジュールの厳しいなかでも、どうしてもリテイクしてほしいカットは、言えばやってくれましたしね。

――リテイクは何カ所 かあった?
そうですね。ここはどうしても……というところは何カ所 かあって、それには大友さんも応えてくれたから感謝してます。特に今回は期間の長い作品で、リテイクしてほしいカットの元の素材が、何年も前に作ったもので「このカットはどこにあったか?」なんてことがありました。1年くらいで作る作品なら、まずそういうことはなく、すぐに素材も出てきてリテイクできるのですが、今回はそういうこともあって、うかつなことは言えないなと(笑)。まずは素材を探すのにひと苦労でしから。下手すると全体を遅らせてしまうから、責任は感じますし、そこが最も悩むところですけれども。
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