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動画検査・村田充範 |
――まずは村田さんの仕事内容を簡単に教えていただきたいのですが。
簡単に説明しますと、あがってきた動画がきちんと仕上げに流せるものかどうかをチェックするという仕事です。自分のところでは、まず「動画出し」という「この部分はこういうふうに描いてください」とか「このラインは色鉛筆で描いてください」といった指示を出すのですが、あがってきたものがその指示と違っていた場合は修正してもらいます。簡単なものなら、動画検査のところで直すこともありますけど。
――動画検査というポジションは、人材が不足していると伺いましたが。
『スチームボーイ』や、先立って公開された『イノセンス』、あるいはスタジオジブリさんの作品といったものは、高いクオリティが要求されるので、それだけのものをチェックできる経験をもった人が減ってきているんです。普通に段階を追っていくと、まず動画で経験を積んでから原画にまわるわけですが、その期間がだんだん短くなってきてるんです。昔と違って、今は大手が多くの人を社内で抱えて作るよりも、小さなプロダクションに発注する形態が増えています。せいぜい10人程度しかいないプロダクションがテレビシリーズを2本、3本抱えている場合、動画より原画の人材が必要になり、だいたい1〜2年で、動画がある程度きちっとできるようになる前に、原画の担当になってしまうんです。
――今回の仕事はどのような経緯で?
87年に、大友さんがオープニングとエンディングの絵コンテを担当していた『ロボットカーニバル』という作品に、動画検査込みの動画という立場で参加しました。その作品が終わったあと、大友さんから「『AKIRA』をやるんだけど、動画検査をやってくれないか」と誘われました。僕はもともと大友さんのファンで、(原作の)「AKIRA」も好きだったので引き受けまして、それ以来、大友さんの作品には動画検査として参加してます。
――大友さんの人となりはいかがでしょう?
うーん、酒好き……かな? 一段落してからは、結構よく飲みにいったんじゃないでしょうか。こんなこと言うと怒られちゃうかもしれないですけど(笑)。僕は漫画家・大友克洋のファンなので、いつも「大友さんはすごいもの描くな」という印象で見ています。ずっと一緒にやっていますが、ちょっと引いたところでつきあってる感じですね。
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