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色彩設計・中内照美 |
――中内さんのお仕事の内容を教えていただけますか?
作画さんや大友さんが起こしたキャラクターに色を付けていきます。基本の色のほか、各シーンごとの色を決めたり、同じシャツの白でも、背景の色などにあわせてレベルを調整したりといったこともやっています。そもそもこの時代には真っ白な服というのは、上流階級の人たちが着ているもので、レイのような庶民はもっと生成りっぽい綿を着ているんじゃないか……とか、作品の時代考証がしっかりしていたので、洋服ひとつにしても難しかったですね。給仕の人でも、ネクタイの色が白と黒とあって、それぞれ意味が違うとか、そのあたりは本を読んで研究しました。
――ほとんど美術設定に近いような感じですね。
美術から浮かないようにするのが重要でした。普通にストーリーに集中していれば、違和感なく作品を見ていることができる。そこが色彩設定として私の目指しているところです。
――『スチームボーイ』には、どのような経緯で参加することになったのですか?
私はもともと仕上げとしてセルに色を塗る仕事をしていましたが、友人のつてで塗りから色指定補になり、そこから色彩設計としてスタジオ4℃に入り、大友さんの「大砲の街」に参加しました。その流れで『スチームボーイ』にはパイロット版の頃から参加しています。『スチームボーイ』以前にも4℃の作品をいくつかやっていますが、私はあんまりいろんな監督さんと仕事したことがないんです。かなり偏っています(笑)。
――大友さんとの仕事はいかがですか?
とても仕事がやりやすい方です。私が塗った絵を見せてダメなときも「こんな感じでちょっとやってみてよ」と、あまり細かくは指示が入りませんでした。だいたい監督さんによって好きな色というのがありますが、大友さんは赤っぽい色が好きなので、そのへんを押さえたりしました。
――大友さんとの初仕事は「大砲の街」で?
そうですね。『AKIRA』は見ていましたが、大友さんの漫画も読んでいませんでした。アニメそのものもそんなに深く知っていたわけではないです。“巨匠”というイメージも持っていなかったので、最初からそんなに構えることはなかったです。紹介してくれた友人は大友さんの大ファンなので、「凄い人なんだよ!」って言ってたんですけどね(笑)。 |